厳冬期火打山クラシックルート山行記録

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2月5日三田原山より高妻山、乙妻山



覚えとして山スキーMLに投稿した記事を掲載します

厳冬期火打山、これまで3回中1回と達成率が低いので今回は日曜の天気に期待して望みました。
事前に天気図を読んで土曜は降るが風はさほどでもないだろうと予測しましたが
思いがけない暴風雪となりました。
火打山方面は北面溶岩台地へ抜けたり澄川を下ったり、5月の残雪期にも雪が豊富で幾度となく滑りに訪れているところ。
地理的に慣れていることで安心感も高いですがシブタミ横断だけはいつも緊張させられます。そういう意味ではこのルート一番の核心部でしょう。

さて山行内容です。
4日朝9時30分頃、高速クワッド終点には我々のみ。最近の観測データでは降雪量こそ少ないが、我々のみでシブタミに突っ込むには難しいなと話していたところへ単独男性が現れさっさと準備し出発していった。
このチャンスを逃さず出発しようとしたところへ別のパーティーが集団で現れる。単独男性を追ってシブタミ上流へ向かうが途中でルートが外れ赤倉山方面へ消えている。後続が来ることを確認しシブタミを横断、右岸へ取り付く。途中から彼らの7名パーティーのラッセルに乗って上部斜面へ登り上げた。あとは斜上しながら稜線へ出るのみ。風雪が激しいがなんとかなるだろう。

三田原を越えて第三尾根手前でシールを剥がす間に7名パーティーがやってきた。先に谷へ滑り込み一気に黒沢を横断するが、ホワイトアウトで雪酔い状態。動いてるのか止まってるのか分からなくなりめまいと共に吐き気が込み上げてくる。黒沢岳と茶臼岳鞍部取り付きとおぼしきところまで滑り暴風雪の中シールを貼る。ここで初めて休憩しカレーパンをほおばる。

この頃から風が強まり体を持って行かれそうになることしばし。1/3ほど上がったところでF君のシールが不調。CT40に雪の細粒が付着し低温と相まって接着しなくなる。ガムテとバンドで応急処置を施す間に7名パーティーの一部が追い着き先行を交代。後を追うが再びシールダウン。今回3名はCT40、gecco、DYNAFITスピードスキンと、それぞれ別種類の性能を確かめる良い機会となった。もちろん取扱いが正確でないと比較出来ないが、暴風雪低温下という状況に限ってはシールの貼り剥がしでは通常の状況であるから、よりイージー&高性能でなければならない。今回の状況では、慣れを差し引いてもDYNAFIT(通常のグルーシール、テールフィックス)が一番安心感及びメンテナンス性能が高いと思われた。(あくまで個人
的見解)

幾度と無く貼り剥がしを繰り返すルートでは細心の注意を払わねばならないがあまりメンテナンスイージーを求めるのはどうかなと感じたので書かせてもらいました。
ちなみに息子がgecco(テールフィクス)を使っていて、貼り付かなくなり擦ったところ接着面が丸ごと剥がれ落ちたそうです。皆さんはそういったトラブルは無いのでしょうか。もう一例挙げますが、K2darkside用にCT40(テールフィクス)使っていますが今のところ目立ったトラブルはありません。ただ低温下で粉雪が付着した際、なかなか付かなくて不安になったことはあります。このため仲間内では亀の子たわしを常備している者もいますが効果はイマイチ。

余談でした。報告に戻ります。

二度の処置でなんとか鞍部に乗り上げあとは小屋まで一息。記憶を頼りにコンパスで小屋を探す。なんとか一発で探し当てるとメンバーから安堵感が漂った。小屋の周囲は3m弱の雪の壁。北側から降りて雪が詰まった階段の除雪を行う。ショベルより手の方が早い。バカバカ落として3階の窓を開け中に入ると暖かいこと。天国とはこのことか。着替えが済む頃には既に15時を回っていた。明日は早いのでさっさと宴会を開始し17時過ぎには就寝。

翌朝3時、アラームで目覚め窓を開けると暴風雪が収まっていない。まずは熱いコーヒーを一杯。残りご飯に野菜やシーチキンを入れ水分たっぷりの雑炊を掻き込む。デポを荷造りし出発準備を整え各自雉も撃って4時半ジャスト出発。

ここまで予定通り。F君歩き出す方角がまったく逆。地形図とコンパスでルートファインディングの訓練です。真っ直ぐ歩くと曲がって行ってしまうので30度くらいのジグを切りながら天狗の庭を目指す。視界は風雪に遮られせいぜい10~20m。天狗の庭入口で小セッピを崩す。下敷きになれば死ぬかもしれないブロックの大きさに肝を冷やす。空を見上げると時折星が瞬くのが確認できる。

北側から尾根に乗り上げる頃ようやく空が白み始めた。風雪は収まらず尾根に乗ると更に寒さが厳しい。バラクラバにゴーグル装着。FT社のバラクラバが息で凍って役に立たない。ネックウォーマーを引き上げて応急処置。グローブはBD-GUIDE、なんとか大丈夫だが右指先の小指から中指の感覚はとうに無い。核心部の急斜面は雪が付いてなんとかエッジが掛かる。よってアイゼン不使用。背後からオレンジ色の光が刺す。振り返るとガスの上、妙高山の頭と左手にオレンジ色に輝く太陽が上がってきた。いつ見ても美しい光景に見とれ何枚も写真を撮る。

さて前方にはガスに真っ白な火打山の斜面。あとは15分登るだけ。柔らかいところとクラストが交互に現れる。シュカブラを踏んで山頂部に出ると突然視界が開け雲海上に白銀に輝やく後立の峰々が姿を現した。西から吹き上げるガスの切れ間に周囲360度のパノラマが眼前に広がる。紺碧の空に遠く富士山、中ア、八ヶ岳、北ア、すぐそこに高妻、乙妻の秀峰が美しい。天狗の庭から高谷池、黒沢岳、妙高山がジオラマのよう。溶岩台地側に自分の影が造ったブロッケンゴーストが現れた。素晴らしい日に山頂に立てたことを感謝し下山に取り掛かる。

風下のシュカブラに板を預けシールを剥がすと東面に回りこんで吹きだまった柔らかい雪に飛び込む。歓声を上げながら肩まで一気に滑り込んだ。本来なら沢筋に滑りたいが今回は時間がないため自重。小屋に戻りデポを回収。茶臼鞍部でシールを剥がし二度目の滑走を楽しむ。

三田原第三尾根右岸の針葉樹林帯を上がり途中からトラバース気味に抜けて稜線へ。涸沢滑走の予定だったが時間的にここもパスし池ノ峰ルートを下った。先行者は数名。途中テレマーカー2名と合流すると先行はボード2名のみ。5人で抜きつ抜かれつ極上のパウダーを食べながら池ノ峰まで標高差900mを一気に滑走。最後まで楽しめる好ルートに大満足で林道を滑り降りた。
ゲレンデはガスの中、最下部のリフトに乗車し駐車場へ戻ったのが15時過ぎ。若干だが余裕を残しての下山は足前が揃っていたお陰です。

山でも分かっていたのですが家へ帰り風呂から上がると左頬から眉毛の上までかなり酷い凍傷になっていました。黒く焼けてただれたようになった皮膚にアロエ軟膏を塗りたくって絆創膏を貼っています。シール、バラクラバ、グローブは厳冬期最重要アイテムなので評判だけに頼らず信頼出来るモノを選びたいものです。
長くなって申し訳ございませんでした。

【山域】妙高頸城
【場所】火打山
【日時】2012年2月4日(土)~5日(日)
【コース】
2月4日:杉ノ原高速クワッド終点1850mh~シブタミ川横断~三田原山
~三田原第三尾根右岸~黒沢池~高谷池(泊)
2月5日:高谷池~火打山頂~高谷池~黒沢池~三田原第三尾根左岸トラバース
~涸沢上部~池ノ峰~スキー場ゲレンデ~下部リフト~駐車場
【メンバー】大瀧、F野、N野
【天気】4日暴風雪、5日風雪後快晴後高曇り
【タイム】スタート4日9時30分、下山5日15時00分
【GPSdata】距離26.16km、累積標高差+1045m、-2353m(全て二日目のみ)

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黒沢岳
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黒沢池から黒沢岳の素晴らしい東面
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三田原山中腹から火打山
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三田原山頂から高妻山、乙妻山
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妙高外輪山赤倉山方向
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